ボート

ボート

青空のもと、ゆったりと流れる川面を、数人が乗る競技用ボートが時に早く、時にゆっくりと漕ぎながら、水面を滑るようにして進む姿に魅了されたことはありませんか。爽快でやってみたいと思う反面、腕力や脚力など体力が必要だろうと、自身には無縁というみなさんに、ボート競技の世界を少しご紹介しましょう。

1. 日本ボートの歴史

世界ではボートは古代にまでその歴史をさかのぼることができますが、わが国で最初にボートが漕がれたのは、江戸時代末期(幕末)のことです。明治3年(1870年)には、「横浜ローイングクラブ」と「神戸レガッタアンドアスレチッククラブ」でインポートマッチを開催したことが、日本初のボ-トレースとして記録されています。

2. ボート競技とは?

日本においては、ボート競技者のメインは学生や実業団選手ですが、欧米では、学生、実業団はもちろんのこと、一般市民が参加する競技も盛んに行われています。競技者に年齢はあまり関係なく、老若男女だれでも楽しめるスポーツのひとつです。
ボート競技は、主に静水の直線レースで行われ、国際大会では2,000メートルで、国内大会では国体をはじめ1,000メートルが多いようです。勝負の決定はいたってシンプルで、合図とともに漕ぎ始め、艇の先端がフィニッシュラインを通過した順序で順位が決まります。また、すべての大会で敗者復活戦があるのもボート競技の特徴で、敗者復活戦に勝てば次のレースに勝ち進めます。

3. 艇の種類

艇の底の形により、ナックル艇とシェル艇の2種類があります。ナックル艇は、底の形が拳(ナックル)に、シェル艇は貝殻(シェル)に似ていることからこう呼ばれます。ナックル艇は一般的に頑丈でバランスが取りやすいため、主に初心者用として使われます。
ボート競技の際に、「エイト」とか「ダブルスカル」とかという言葉を聞いたことはありませんか。これも艇の種類に関係します。エイトとかダブルは漕手の人数、スカルとは、両手に1本ずつオールを持って漕ぐ艇の種類で、両手で1本のオールを持って漕ぐ艇をスウィープタイプといいます。エイトもスウィープタイプの艇で、ボート競技では最大の人数で、最も高速となる「舵手(コックス)付きエイト」の略称です。そのほか、シングルスカル、ペア、フォアなどがあり、さらに 舵手 だしゅ 付き、舵手なしなどの種目に分かれています。

4. クルーの役割

ボート競技で最大人数の「エイト」を例に説明しましょう。
艇首に最も近い漕手を舳手(バウ)と呼び、順に2番、3番、…、6番、7番、そして整調(ストローク)と呼びます。舵手(コックス)は整調と向き合って最も船尾寄りのポジションに位置します。

  • 整調(ストローク)…英語でストロークといいますが、クルーのリード役であり、ペース配分、ピッチの上げ下げ等をリードし、クルー全体のリズムを作っていく重要な役割を担います。
  • 舳手 ばう (バウ)…他の漕手の動きを見ることができるため、全体の調子をみたり、声を出して励ましたり、漕手のオールの乱れを注意したりすることが必要で、整調に劣らず重要なポジションです。
  • その他の漕手…主としてエンジンの働きをしますので、普通、体力のある選手を配置します。

5. ボートの魅力

「エイト」や「フォア」は、チームワークを必要とするスポーツであり、究極の団体精神を示す言葉として、ボートは「一艇ありて、一人なし」といわれています。クルー全員の息が合ってボートがすいすい進むのは、漕いでいても見ていてもすごく気持ちのいいことです。
ボートは、自然を相手にします。 つかみ所のない水をどのようにして捕まえ、軽い力でいかに速く艇を進めるか。その技術と繊細な感性が問われる極めて奥の深いスポーツですが、生涯スポーツとして、多くの人が楽しめるスポーツでもあります。

協力:公益社団法人日本ボート協会
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