クリケット

クリケット

クリケットは、野球の原型といわれ主に英国文化圏(イギリス、オーストラリア、インドなど)で盛んな球技です。日本では馴染みが薄い球技ですが、球技人口はサッカーに次いで世界第2位(世界100か国以上でプレイ)といわれています。今回はそのクリケットの世界を少し覗いてみましょう。

1. クリケットのあらまし

クリケットは、1チーム11人で、攻撃側と守備側とに分かれ対戦する球技です。攻撃側のチームはバットでボールを打ち、走り、できるだけ多くの得点を得ようとし、守備側のチームはボールを投げ、守備を行い、打者をアウトにして相手チームの得点を抑えようとします。攻守交代してイニングが終了したときの得点が多いチームが勝ちとなります。
クリケットの試合の流れを単純化するとこのような球技です。野球の原型といわれることが分かるような気がしますが、野球とはだいぶ異なるようです。

2. 用具

用具は、まずボールとバットです。ボールはコルクの芯にウールの糸を巻き、皮革で包んである非常に硬いものです。大きさは、野球のボールとあまり差はありません。バットは、ボールを打つところがボートのオールのような板状で、握り部分は野球のバットのようで長さが1m弱のものです。
ボールが硬いので打者(「バッツマン」といいます、以下「 」はクリケット用語)と捕手(「ウィケットキーパー」)は足にプロテクター(「パッツ」)と手にグラブをはめますが、守備につく選手(「フィールダー」)は素手です。

3. 楕円形のグラウンドと「ピッチ」

グラウンドは楕円形で、その中央に長さ約20mの長方形の「ピッチ」があります。投手が投げ、打者が打ち、走るところです。また、「ピッチ」の両端に野球でいうベースのような役割がある「ウィケット」と呼ばれる3本柱〔高さ71cmの3本の杭とそれを上でつないでいる梁で作られている〕が20メートルほど離れた位置に1セットずつ立っています。

4. 対戦方法

コイントスで先攻と後攻を決め、攻撃側と守備側に分かれて対戦します。守備側は投手(「ボウラー」)と捕手以外のポジションは自由で、「ピッチ」を囲むように9人が守りにつきます。攻撃側は二人の打者が投手側と捕手側に分かれ「ピッチ」に入ります。

5. 試合のながれ

  1. 投手(「ボウラー」)と打者(「バッツマン」)
    両端の「ウィケット」を背に投手と打者、打者の後ろに捕手がいます。投手は打者が打ちにくいようにワンバウンドさせて投げてもよく、打者の後ろの「ウィケット」を倒しにいきます。1球目でも「ウィケット」を倒されたら打者はアウトです。打者は「ウィケット」が倒されないようにバットでブロックしたり、得点するためにバッティングしたりします。また、打者は「ウィケット」が倒されない限り、何度空振りしてもアウトになりません。
  2. 得点(「ラン」)とアウト
    打撃後や捕手がボールをそらしたときなどに、「ピッチ」に二人いる打者が、バットをもってそれぞれ反対側の「クリース」をめざして走ります。守備側の返球で「ウィケット」が倒される前に、二人ともバットか体のどこかが「クリース」を越えると得点(「ラン」)が入ります。アウトになりそうな場合は、走らなくてもよいのです。投手の投球により「ウィケット」を倒されたときやフライをダイレクトキャッチされる、打撃後走ったが「クリース」を越える前に「ウィケット」が倒されると、その打者はアウトで次の打順の打者と交代します。10アウトまたは規程投球数で攻守交代します。
クリケットのイメージ

6. クリケットの背景

クリケットはイギリスの国技といわれる球技で、17世紀以降、イギリスが全世界に領土拡大したのに伴い、オーストラリア、インド、南アフリカなど、全イギリス植民地に広がりました。
明治維新後、イギリスの海軍や商人たちが横浜に初めてクリケットクラブをつくり、現在の横浜スタジアムは、もともとクリケット場とされていたほど、西洋からいち早く日本に導入された球技です。
4年に1度の祭典『ワールドカップ』が開催されます。ここ数年は、日本でも大学生とジュニア世代を中心に競技人口が飛躍的に増加しています。男子代表、女子代表、大学代表、U19代表、U15代表も組織され、少しずつ世界との差を縮めてきています。

協力:日本クリケット協会
〒107-0062
東京都港区南青山2-11-14
050-3766-4483
https://cricket.or.jp/