カレー

カレー

そのスパイシーな香りに食欲がそそられるカレー。子どもから大人まで多くの人の好きなメニューとして挙げられ、国民食ともいえるメニューです。カレーライス としてだけではなく、うどんやピラフ、寒い季節には鍋にするなど、アレンジも自由自在に楽しめるのもカレー人気の一つでもあります。今回は、カレーの歴史をはじめ、アレンジレシピなどカレーの魅力について紹介します。

1 カレーの歴史

 カレーは元々インドの常食として食べられていた料理のテクニックの一つでした。インドではカレー粉ではなく、各家庭でスパイスを調合しています。1772年頃に香辛料を求めにインドに来たイギリス人が調合 されたスパイスとインド米をイギリスに持ち帰り、女王に献上し、以降王室のメニューに加えられたといわれます。1800年頃にはイギリスでカレー粉が一般にも販売されるようになり、この時欧風にアレンジされた カレーが生まれました。
 日本にカレーが伝わったのは、1870年頃。イギリス人によって日本にカレー粉とその調理法が伝わり、日本の主食であった米飯と組み合わさり、「ライスカレー」として日本中にカレーが広まりました。
 日本でカレーが国民食として広まったのは1876年。札幌農学校のクラーク博士によって、寮生の米飯が禁止される中での唯一の例外がカレーで、1日おきに出されました。退寮した学生が家庭に調理法を持ち 帰ったことで、一般家庭にも広がったことにもあるといわれています。
 そして、戦後の学校給食にも採用されたことで、カレーが国民食といわれるまでになりました。1982年、社団法人全国学校栄養士協議会が、学校給食週間の前に、子どもたちに好まれていたカレーを全国の学校 給食メニューとして提供を呼びかけたことから、1月22日は「カレーの日」として制定されました。

2 世界のカレーの違い

 インドのカレーは玉ねぎとトマトを中心に豆や野菜が使われ、カレーの種類も多彩です。これは宗教や身分制度などの関係で、肉を食べてはならないなど、食べ物の制限があるためです。一方、日本のカレーは、 じゃがいもやにんじん、玉ねぎを基本に、牛や豚、鶏などの肉を一緒に煮込む形が一般的なレシピとされています。イギリスでは、牛肉や鶏肉に、豆やたまねぎ、じゃがいも、にんじんと、日本と似ていますが、 フルーツやヨーグルトを入れることがあります。インドネシアやカンボジア、タイではココナッツミルクを使うのが主流です。
 このように、国が違えばカレーの種類もさまざまにあります。今は日本でも多国籍料理店などで、あらゆる国のカレーを食べることができるので、食べ比べて違いを楽しむのもお勧めです。

3 スパイスの特長

 カレーに欠かせないのがスパイスとハーブです。カレー粉は複数のスパイスとハーブを組み合わせて作った混合香辛料で、それぞれ香り・辛味・色を付けてくれるものです。多いものでは40種類を超えることもあ ります。どんなスパイスやハーブが使われているか見ていきましょう。

  • 香り
    カレーの香りは食欲を刺激する効果があります。甘い香りにはコリアンダーやシナモン、ナツメグ、アニスなど。また、カルダモンやクローブ、オールスパイスなどは南国を連想させる香りとなり、 クミンやスターアニス、ディル、オレガノ、ローズマリー、セージ、ローレルなどは、個性的な香りを引き出すスパイスやハーブとなっています。
  • 辛味
    辛味のスパイスは食欲を増進させる効果があります。カレーに使われる辛味のスパイスには、コショウ、唐辛子、しょうが、マスタードなどがあります。

  • カレーの美味しそうな独特の色にもスパイスは欠かせません。色味のスパイスとしては、主にウコンが使われ、他にもパプリカやサフランなども使われます。

4 カレーをさらに魅力的にする レシピのポイント

 カレーは少し工夫するだけで、自分だけの多様な味付けにすることができます。
 味に工夫する場合は、にんにくやしょうがなどのスパイスを加えると 風味がアップします。また、しょうゆやソースは液体スパイスとして、味にコクがでます。まろやかなカレーにしたいときには、バナナやリンゴ、 パイナップルなどの果物を。マイルドにしたいときにはヨーグルト、牛乳、チーズなどの乳製品。アーモンドやピーナッツを切って加えると食感の 良さが楽しめます。また、カレーの味に深みを出したいときには、チョコレートやココア、インスタントコーヒーを入れるのも面白いです。
 カレーに欠かせない肉は、強火で炒めてから煮込みましょう。この時、炒めたときに出る肉汁は、カレーの出汁として使いましょう。魚介類を 入れるときには、生臭さを消すために煮込む前にゆで・炒め・揚げなど、火を通した下処理をしましょう。野菜は、ゆでたり揚げたりしたものを 後乗せするのもお勧め。旬の野菜を使ったアレンジも楽しめます。
 カレーを作り置きする場合、作ったものを鍋に入れたままにすると、細菌が増殖してしまうことがあります。保存する場合は底の浅い容器 に小分けして、しっかり冷ましてから冷蔵庫や冷凍庫で保存しましょう。 食べるときには鍋や電子レンジで充分に加熱してから食べると美味しくいただけます。
 家庭によって異なるカレーの味、さまざまなアレンジにも挑戦してみてはいかがでしょうか。

協力: 全日本カレー工業協同組合
住所: 〒111-0051 東京都台東区蔵前3丁目20番1号 山岸ビル 502号
HP:  http://www.curry.or.jp/