カキ(牡蠣)

カキ(牡蠣)

カキフライや鍋物で人気のカキは、欧米でもオイスターバーなどで生食されます。「海のミルク」ともよばれる完全食品(人間がそれだけ食べ続ければ生きていける食べ物)のカキを取り上げます。

1.カキの特徴・性質

カキは二枚貝の一種です。世界中に100種くらい分布しているといわれ、貝殻の形は周囲の環境や生息密度などによって変化に富んでいます。
岩礁などに付着し、移動しないため、えらのせん毛運動により水流を起こして、海水中の植物プランクトンなどをろ過して摂取します。
流通量の多いマガキは夏季が産卵期で、この時期は卵巣が発達するため食用には適さないといわれます。しかし、山陰や北陸地方でとれるイワガキのように夏が旬という種類も存在します。

2.カキの養殖

カキはその殻が貝塚から多量に出土しており、古くから人間の食料になっていたようです。
養殖の歴史も古く、広島県では江戸時代初期には自然発生的に行われていたとされています。当初は干潟に石やかわらを並べて付着させる方法でしたが、干潮時に空気中にさらされると、カキはえさをとることができませんでした。大正末期にいかだにつるす養殖方法が開発されると、カキは24時間えさをとり続けることができるため成長が早くなりました。そのため養殖のカキは、天然のものより身が大きく、味も良いといわれます。

3.カキの栄養

カキは低脂肪高タンパクで、ミネラルもバランスよく含んでいます。味覚や臭覚を正常に保つ働きがある亜鉛、鉄欠乏性貧血を予防する鉄のほか、赤血球をつくるのに必要な銅も豊富です。また、即効性の高いエネルギー源であるグリコーゲンや、血中コレステロールの上昇を抑えるタウリンなども含まれます。

4.新鮮なカキの見分け方

殻付きであれば固く閉じているものが新鮮です。むき身では貝柱が身から離れず半透明であるもの、身が乳白色で盛り上がり光沢があるもの、澄んだ香りのものを探しましょう。
また、スーパーマーケットなどでむき身のカキが生食用と加熱調理用とに分けて販売されていますが、これは鮮度の差による区別ではありません。カキ自体のもつ雑菌数が、食品衛生法の基準を下回るものだけが生食用として認定されます。生食用のカキには雑菌が少ない海域で採取されたもののほかに、特定の浄化処理を行ったものがあり、この浄化処理を行うとカキが痩せてしまうという意見もあります。
  もちろん、加熱調理用のカキを生で食べてはいけませんが、それは生食用に鮮度で劣るからというわけではありません。むしろ、鍋物やカキフライをはじめとする加熱調理には、加熱調理用のカキを使った方がカキ本来の濃厚な味と香りを味わうことができるといわれています。

協力 : 広島県立総合技術研究所水産海洋技術センター
ホームページ : https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/32/suigi-top.html