パイナップル

パイナップル

いま、青果店などでは、ひと昔前には見られなかった南国の果物がたくさん置いてあります。
そのような「南国フルーツ」の中でも、バナナと並びなじみがあるのがパイナップルではないでしょうか。料理にもデザートにも使われるパイナップルを取り上げます。

1.パイナップルの語源

パイナップル(pineapple)は熱帯アメリカ原産の多年草です。名前の由来は、松かさ(松ぼっくり)を意味する「pine」と、広く果実を意味する「apple」を合わせたものといわれています。香りや味がリンゴに似ているから「apple」という説もあります。

2.日本のパイナップル

農林水産省の「果樹生産出荷統計」等によると、平成20年のパイナップルの国内収穫量は約1万トンでほぼすべて沖縄県産です。ただしパイナップルは輸入品が多く、財務省の「貿易統計」によると、平成21年のパイナップル(生鮮)輸入量は約14万トンで、その約99%がフィリピン産です。

3.パイナップルの実

パイナップルの実にうろこのようなものがありますが、この一つ一つが花の跡です。パイナップルは一つの茎に約150個の花がつきます。一般的に食べられる部分は、花托(かたく)と呼ばれる花を支える部分がふくらみ集合したものです。つまり150個の花の花托が肥大化し一つになったものが、一般にいうパイナップルの実なのです。

4.パイナップルの栄養

パイナップルには、次の表にある栄養成分が含まれています。

栄養成分 働き
クエン酸 酸味成分。胃液の分泌をよくし、胃腸の働きを助ける。消化不良などに効果。
ビタミンB1 糖質の分解を助け、代謝を促す。疲労回復や夏バテに効果。
マンガン カルシウム吸収を促進。骨粗しょう症の予防に効果。

パイナップルにはブロメラインという、たんぱく質を分解する酵素が含まれています。ブロメラインは肉を軟らかくし消化を助けますが、熱に弱く、60℃以上に加熱するとこの効果が失われてしまいます。料理に使う場合はあまり火を通し過ぎない方が効果を期待できます。また、缶詰は生産工程で加熱処理されているため、効果は期待できません。パイナップルを食べると舌がピリピリすることがありますが、それもこのブロメラインの働きのためで、キウイフルーツやパパイヤも同じくたんぱく質分解酵素を含むため、舌がピリピリすることがあります。

5.パイナップルの保存方法

パイナップルは収穫後「追熟」(収穫後一定期間を置くと熟すこと)しないため、十分熟してから収穫されます。そのため、購入したら早めに食べましょう。パイナップルの実は、葉のついている上の方は糖度が低く、下の方が糖度が高いため、逆さにして保存すると甘みが全体に回るといわれています。

協力 : fruit safety『くだものものしりサイト』運営事務局