イカ

イカ

かつては、世界で獲れるイカの半分は日本人の胃袋に収まっている、といわれていました。世界のイカ漁獲量そのものが増加している現在でも、やはりイカは日本では多く消費されています。今回は、マグロやサケと並んで日本人に好まれているイカについてご紹介します。

1. イカのからだ

イカは、分類上は「軟体動物門」に属します。軟体動物には主に貝類が該当しますが、イカも大きなグループとしては貝類と同じです。イカと貝類が同じグループに属するというのは意外かもしれませんが、イカの中にある舟形のイカの甲やペラペラの軟甲は、正確には貝殻なのです。
イカの10本の“足”は「下足(げそ)」と呼ばれることもありますが、物を運んだりできることから、腕にあたります。腕のうち2本は、獲物を捕らえるための伸縮自在の触腕となっています。また、イカの頭は三角帽子のような部分ではなく、眼や口のある方です。そのため、10本の腕は頭から生えていることになります。
大きさはさまざまで、日本近海でも胴長16mm程度のヒメイカから、最近話題のダイオウイカまで、たくさんの種類が生息しています。

2. イカの生態

市場でよく見るスルメイカ等の寿命は非常に短く、1年です。これは、イカも魚類の耳石(じせき)にあたる平衡石を持っており、そこに刻まれている年輪ならぬ日輪を読むことで判明しました。たった1年の間に体長30~40cmまで成長するため、生まれた日が少し違うだけで大きさもずいぶん違ってきます。ちなみに、より巨大に成長するダイオウイカの寿命はまだ解明されていません。
イカは肉食であり、小さいころはプランクトンを、大きくなると小型の甲殻類や小魚を食べます。一方、マグロやサメのような大型魚類や、オットセイのような海獣類、イルカやクジラが天敵となります。天敵から逃げる時にはイカ墨を吐きますが、タコの墨が広がって煙幕となるのに対し、イカの墨は粘液が多いためすぐには広がらずに留まり、捕食者の目を逸らすダミーの役割を果たします。

3. 栄養

イカは低カロリー、低脂肪、高タンパクな食材です。イカにはリシンをはじめとする必須アミノ酸が多く含まれており、良質なタンパク質をとることができます。このほかに、イカに多く含まれる成分としてタウリンがあります。イカはコレステロールを多く含むと思われているかもしれませんが、タウリンにはコレステロールを下げる働きがあります。このほかにも、肝臓の機能を高めたり、高血圧や糖尿病の予防といった、生活習慣病の予防、改善効果があります。
また、最近の研究により、イカ墨に抗ガン作用があることが分かっています。これは、イカ墨に含まれるムコ多糖-タンパク質複合体の働きにより、人の身体が本来もっている免疫機能が活性化されることによると考えられています。

4. 食べ方

イカは、種類によって旬の時期が異なっていますが、日本で最もポピュラーなスルメイカの旬は7月~10月ごろとなっています。また、イカは冷凍しても肉質の変化が少ないため、年間を通しておいしく食べることができます。このほかにも、塩辛やさきいか、するめ等、イカは加工食品の種類も充実しており、冷凍のイカや加工食品からでも、タウリンや良質なタンパク質をとることができます。旬の時期に新鮮なイカを刺身や寿司、イカソウメンで食べるのもおいしいですし、たくさん食べるとコレステロール値が気になるという人は、するめ等をよくかんでゆっくり食べることにより、あごを鍛えることにもつながってお勧めです。

協力:全国いか加工業協同組合
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