紅茶

紅茶

カフェ・オレはフランス、エスプレッソやカプチーノはイタリア、ダッチコーヒーはオランダとヨーロッパ諸国ではコーヒーが好まれているのに、イギリスではコーヒーより紅茶の国というイメージです。いずれもヨーロッパでは収穫されない産物ですが、今回は紅茶についてその歴史にもふれながら、紅茶にまつわる豆知識をお届けします。

1. 紅茶、緑茶、ウーロン茶は、違う種類の茶葉か

緑茶も紅茶も、さらにはウーロン茶も元は同じ茶葉です。例えば、静岡県で採れる茶葉は緑茶だけでなく紅茶にもウーロン茶にもできるのです。お茶の木はツバキ科の常緑樹で、原種は中国大陸の西南部、雲南省を中心とする広い地域とされています。木から摘んだ茶葉を乾燥、発酵させて作る際の発酵度合により、緑茶、ウーロン茶、紅茶などさまざまな種類のお茶になります。

2. 紅茶の誕生

中国では、3世紀の後半から煮出した茶液が不老長寿の仙薬として飲まれていました。ヨーロッパに初めてお茶が伝えられたのは17世紀で、それはオランダによってです。それは緑茶で、中国そして日本からのものでした。その後、遅れてアジアに進出したイギリスが勢いを取り戻し、中国から大量にお茶を輸入するようになりました。
イギリス人の食生活や嗜好の変化により、次第により強く発酵したお茶が好まれるようになり、製茶の工程に改良を加えた紅茶が生産されるようになりました。

3.喫茶の流行と大衆化

イギリスで最初にお茶が販売された時、やはり万病に効く“東洋の秘薬”としてでしたが、1662年にチャールズ2世のもとに嫁いできたポルトガルの王女キャサリンが、中国の茶と当時は貴重であった砂糖を持参したことによって、宮廷に喫茶の習慣をもたらしました。貴重なお茶に貴重な砂糖を入れて飲むという贅沢な習慣は、当時の社交場であったコーヒーハウスやティ-ガーデンを通して、貴族・上流階級から一般階級へと次第に広まってきました。産業革命等により人々の食生活にも変化が生じたことや、砂糖が手に入りやすくなったこと、また当時植民地であったインドやセイロン(スリランカ)でのお茶の栽培が成功したこと等により、紅茶がイギリスの国民飲料として人々の生活に定着していきました。

4. 日本でも紅茶が生産されていた

かつて日本でも紅茶が生産されていました。しかも、それは輸出品として生産されていたのです。
第2次世界大戦後しばらくは輸入に割り当て制がとられていましたが、輸入が自由化された1971年以降、わが国で販売される紅茶は、輸入品に切り替わりました。わが国の紅茶の消費は、ティーバッグの導入や缶入り紅茶ドリンクの開発などを契機に、飛躍的に増加しました。

5. 紅茶の楽しみ方

  • 水:汲みたての水を使いましょう
    紅茶には軟水がベターです。幸い日本は軟水に恵まれていますから、汲みたてで空気を多く含んでいれば紅茶向きです。お湯は沸騰直後(100℃)のものがよく、ぬるかったり、沸騰しすぎたお湯では香気成分がよく出ません。
  • ポット:鉄分の含まれたポットは避けましょう
    陶磁器か銀製のティーポット、あるいはガラス製のティーサーバーを使いましょう。緑茶用の急須でもかまいません。鉄分を含むポットの使用は、紅茶のタンニンが鉄分と化合して香味を損なうばかりなく、紅茶の色を黒っぽくしてしまいます。
  • カップ:内側は白が望ましい
    紅茶の生命は色と香り。その色を楽しむためには内側は白く、香りが広がりやすい浅いかたちのものを選びましょう。

6.紅茶に含まれる成分

紅茶ポリフェノールは、重要な生体内抗酸化物質で、インフルエンザや生活習慣病の予防、老化の抑制(例えば老人性シミの発生防止,血管等体の組織がもろくなるのを防ぐ)、メラニン色素生成を防ぐ美容等に効果が期待されています。

協力:日本紅茶協会
〒105-0021 東京都港区東新橋2-8-5
03(3431)6509
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